Yahoo! Researchから出た論文を読み解く

Yahoo! Research*1とUCバークレーの研究者が著述した論文をCiteULikeで発見したのでその要約を載せておきます。
タグの機能分析をやっていく上で、また今後の分析メニューを決める上で(それがある程度見えないとデータの再作成はお願いできないし、、、)やはり先行研究はあたらざるを得ないと判断。

でも、一本論文を見つけると、その引用などからどんどん広がっていくものですね。この感覚は何度も味わっていますが、このような新しい、しかも希少なテーマではそれを実感します。

HT06, tagging paper, taxonomy, Flickr, academic article, to read
Authors: Marlow C, Naaman M, Boyd D, Davis M
@Yahoo! Research Berkeley and UC Berkeley School of Information

ソーシャルタギングの概念モデルにおける3つの要素

  • Resources:被タグづけ対象:ブックマーク、画像、動画など

この要素がこれまで最も研究されてきている。例えば、Pagerankとか、、、

(この論文はYahoo! Reseachの人が書いているので、この論文で主に取り上げられているResourcesはもちろん画像:Flickr

  • Users:社会ネットワーク分析の中心的分析対象

◆このジャンルはきちんとした論文がなかなかないが、最も重要な研究としては
http://www.hpl.hp.com/research/idl/papers/tags/tags.pdf
を挙げることが出来る。
この論文によるとタギングシステムの意味論的難しさはpolysemy:キーワードの持つ多義性とsynonymy:同義語の存在である。また、異なった習熟度のユーザーの存在や目的の異なるユーザーの存在は、Resourcesを表現するのに異なったレベルの抽象度のタグ(キーワード)が用いられる原因となっている。

http://www.dlib.org/dlib/april05/hammond/04hammond.htmlhttp://www.dlib.org/dlib/april05/lund/04lund.htmlによるtaxonomy(個人のもつ分類基準)の二つの側面=アイデンティティ
:タグユーザーとコンテンツ製作者

◆タグ付けは強調フィルタリングに近い効果を果たしている。

ソーシャルタギングシステムのデザイン要素

  1. どの範囲のResourcesまでタギングできるか:自分が作ったコンテンツ(technoratiFlickr)、自分が蓄積したコンテンツ(SBM)、他人が蓄積したコンテンツ、、、、、、、
  2. タグ付け時の補助機能:リコメンデーション有無とリコメンデーションの中身(自身が過去に使ったタグからのみレコメンドするか、全ユーザの使用タグから候補を表示するか)
  3. アグリゲーション:自身以外のユーザがつけた同一Resourceに付与されたタグが表示されるか
  4. 蓄積される対象コンテンツ:URL/画像/動画/学術論文、、、、
  5. 蓄積対象コンテンツの出自:参加者/ユーザが蓄積するもの(YouTube, Flickr,Technorati....)、システムによって蓄積されるもの(Last.fm, Yahoo!Podcast....)、ウェブ上に存在するもの全てに対してオープン(SBM)

一部のシステムは蓄積対象を機械的に制限している(Flickr)し、一部のものはユーザ間の社会的規範(CiteUlike)による。

  1. Resource間の関連性:グループ化やリンクが生成されるか
  2. 社会的連結性:ユーザ間のリンク機能やコミュニケーション機能の有無

◆タグ付けをする動機
当初は構造化したファイリングに対する代替としての整理方法→ユーザ自身の便利さのため

コミュニケーションのための自然な行動

  • future retrieval:将来の備忘、探索効率向上
  • コミュニティーに対する貢献、(情報)共有
  • 他ユーザの気を惹くため
  • 楽しみやセンスの競い合い
  • 自己表現
  • 意見表明

◆あとはYahoo!が持っているFlickrのデータを使って、利用していくうちにタグに用いるキーワードの共通度が上昇する、などの分析結果が紹介されている。

※追記:論文へのリンクが切れていたのを修正しました。CiteULike,,,,ま、仕方がないですよね。

*1:日本のヤフーリサーチはマーケティングリサーチ会社だが、USのYahoo! Researchは研究部門