クンパルシータ

同郷(京都出身)I先輩(こう呼ばせてください)に薦められた喫茶店、クンパルシータに行ってきました。
扉を開けるとまだ開店前なのか(公表されている開店時間は過ぎているのだけど、気にしない)、音楽もかからずゆったりとした雰囲気。女の子が一人一番奥の席で本をめくっていた。

ママさんがゆっくり登場。ママさんといってもこの店は創業60年。腰はすでに曲がっている。でもかわいげのあるあざみ色のワンピースでやさしく席に案内された瞬間にこの店とママに引き込まれてしまいました。

必然的にゆったりとした動作で開店準備は進んでいく。20分ほど経ってカセットテープが回り始め、スピーカーからタンゴが流れ始める。そう。ここはタンゴ喫茶。

店の内装は昭和34年以来そのまま。オーディオ設備もTechnicsのアンプにONKYOのWカセットデッキ。(CDプレイヤーもあったけど)ママと一緒に時を重ね、熟成された空間。

ゆったりとした時間をすごし、店の外に出たら風俗店の呼び込みにあった。木屋町河原町の間の路地はいまや風俗店が多数進出する場所。(といっても僕が物心ついた1980年代にはすでにそうだったのだけど)東京ではぎょっとして逃げるところだが、ママとタンゴの魅力に守られた僕はゆったりとその路地を後にしたのでした。

そんな場所で読んでいたのはこの本。

専門書を読むにしても、とりあえず岩波文庫でなければ、という気になる場所でした。