比較制度分析に向けて(1) 第1章 制度とは何か の<1>

こんな本を読んでます。図書館への返却期限が迫ったので、まとめてみることにしました。
っていうか、まとめを作っておかないと、たぶん理解するに苦しいので。
でも、読んでいて面白い本です。ゲーム理論、久しぶりだなぁ、、、、

比較制度分析に向けて 新装版 (叢書≪制度を考える≫)

比較制度分析に向けて 新装版 (叢書≪制度を考える≫)


P8
◆D.ノースによる制度分析の基本ルール

制度はゲームのルールとみなされるべきであり、それはゲームのプレイヤーとは区別されるべきである。

わが身(研究プロセス・議論の進め方)にひきつけて捉えると、
「だって、株式会社だって制度に則って成立している主体じゃん」なんていう理屈もありますが、それをいっていたらいつまでたっても分析はできません。
にわとりたまご、であるにせよ、きちんと分析の枠組みは定めないと、ということですね。

◆Hurwicz, L.(1993,1996)のとったアプローチ
これも基本だから押さえておきましょう的な部分。
しかし「三十対」という日本語、かっこいいかも(って訳者ががんばって作ったのでしょうか、この言葉)

ゲームのルールは、

  • 誰がゲームをプレイするか:プレイヤーの集合
  • プレイヤーたちはどのような手を選択しうるか:選択集合
  • プレイヤーたちの選択のプロファイルにどのような物理的結果が対応するか:結果関数

を特定することによって表現される。
このような特定化の三十対を「メカニズム」ないし「ゲーム形(game form)」と呼ぶ。

P10
◆実行化メカニズムの必要性と導入によりもたらされるディレンマ

このディレンマに自覚的であるうちはいいんですよ。たぶん。

ある社会目標を達成するという目的でデザインされたメカニズムが自己拘束的でない場合、それは何らかの実行化メカニズムによって補充されなければならない。特殊な行動集合(人々を収監する、等)を有する実行化主体(法廷、警察やオンブズマン、等)を追加するとともに、それに応じて適宜に結果関数の修正を図ることによって、ゲーム形は変更されねばならない。しかし、このことはメカニズム・デザイナーにとってジレンマを生み出すことになる。実行化メカニズムを有効なものとするためには、実行化主体にたいし、その使命を正しく遂行させるために適切なインセンティブを提供する必要がある。更に、実行化メカニズムの遂行において資源が利用されなければならず、規定された社会目標に直接寄与する活動から資源が転用されねばならない。その結果、当初の社会目標はそれを達成する過程で妥協を強いられることとなるだろう。

P14
◆分析の方針

ゲームが繰り返しプレイされる仕方の際立った(salient)特徴に関して共有された予想の自己維持的システム(self-sustaining system of shared beliefs)として制度の性質を理解する試み

P16
◆Kreps, D.による制度の定義
どんな制度も、少なくともその成立の課程においては(限定合理性のもとでは)合理的であったということ。だからこそ、一度定まった制度を変えるにはエネルギーが必要

限定合理的で反省的な諸個人の社会による長期の経験の産物

、、、って思っていたら、P22にこんな1文が

意図せざる帰結がもたらされる主な原因として、デザインされた計画と、制度発展のユニークな歴史軌道を反映した現存の制度的環境との間に「適合性」が欠如している点を指摘できよう。

P21
◆技術的条件と制度の違い
こうした取り違え・ミスはよくありがち。
これは肝に銘じておかなければ。

ゲームの構造にかんする技術的特定化に対応して、たった1つの均衡しか存在しないならば、その均衡は、技術的条件を翻訳したものに過ぎず、制度ではない。

P28
◆取扱う6つのドメイン

  1. 共用財/コモンズ
  2. 財取引/トレード(経済的交換)
  3. 組織
  4. 社会的交換
  5. 政治および原初的な組織フィールド

あれれ、社会的交換がしっかり入っている。P.ブラウ読まなきゃだめ??